第97章

「この子は俺の……」

立花謙一が言いかけた言葉を、周防春香が慌てて遮った。

「謙一、タイミングが悪かったのはわかっているわ。でも、だからといってこの子の存在まで否定しないで」

「それに、あなたが薬を盛られたあの晩、ずっとそばにいたのは私よ。忘れてしまったの?」

心臓が鷲掴みにされたような痛みが走る。

あの日、立花謙一が私を追い出し、自ら周防春香の手を取って寝室へ消えた夜のことだ。

この子が……。

あの晩にできた子だというの?

なら、私が立花謙一と過ごしてきたこれまでの歳月は、一体何だったのか。

「言ったはずだ。その子は俺の子じゃない」

立花謙一は再度、冷徹に強調した。

...

ログインして続きを読む