第99章

ボディーガードは即座に私の前に立ちはだかり、周防春香を押し留めた。

「退きなさい!」

周防春香の怒りが頂点に達する。

「私が誰だと思っているの? 立花グループ社長の婚約者よ。指一本でも触れたら、この街で生きていけなくしてやるわ!」

ボディーガードは微動だにしない。

私は彼越しに、彼女へ向かって微笑みかけた。

「無駄よ。彼の胸にある家紋が見えないの?」

周防春香が目を凝らすと、その顔色が瞬時に凍りついた。

「立花家の……ボディーガード!」

彼女は少しの間考え込み、顔を上げると迷いなくボディーガードを平手打ちした。

「恥を知りなさい! 立花家の人間でありながら、よくも私を阻め...

ログインして続きを読む