第106章

キャスパー視点

結婚式の翌朝。

俺は早起きしたが、オードリーは昨夜なぜか酔い潰れて、まだ目を覚まさない。

鏡の前でネクタイを締め直し、今日の午後ニューヨークへ戻るフライトの前に、コール家の屋敷で開かれる送別の昼食会に備える。

クララとフィンリーの結婚式の後、ロバート・コールが最後の食事に招待すると言ってきかなかったのだ。「きちんとした見送り」を、と彼は言った。

正午ごろに迎えの車が来るものと思っていたが、朝九時にもならないうちにホテルのスイートルームのドアがノックされ、不意を突かれた。

エドワードがいつものようにそつなく対応すると、廊下にはカジュアルなネイビーのブレザーとスラックスに身を包ん...

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