第107章

オードリー視点

コール邸の階段をフィンリーの後について上りながら、何かがおかしいという感覚が拭えなかった。

彼の肩には力が入り、私たちがクララの寝室だろうと思う部屋に近づく間も、視線はまっすぐ前を向いたままだった。

ドアの前に着くと、フィンリーは不意に立ち止まり、私の方を向いた。

「お、俺はここにいるから、君が入ってくれ」彼はそう言ったが、その声は彼らしくもなくためらいがちだった。

彼の顔をじっと見つめる。首筋がわずかに赤らみ、彼は私と直接視線を合わせるのを避けていた。

「どうしたの?」私はそっと尋ねた。「様子がおかしいわ」

フィンリーはため息をつき、完璧にセットされた髪を手でかき乱した。

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