チャプター 119

オードリー視点

キャスパーが寝室に入ってくる気配を感じ、私は眠ったふりをして、じっと横たわり続けた。

最初に届いたのは、彼が使ったシャワージェルのかすかな香り。続いて、別のバスルームでシャワーを浴びてきたことを思わせる、ほのかな温かさと湿気が伝わってきた。

彼がシーツの下に滑り込むと、マットレスがわずかに沈んだ。そしてランプがカチリと音を立てて消え、部屋は闇に包まれた。

広々としたキングサイズのベッドにもかかわらず、ほんの数センチ先にある彼の存在を、私は痛いほど意識していた。

数分間、私たちは二人とも同じ姿勢を保っていた。ベッドの真ん中には、まるで目に見えない線が引かれているかのようだった。...

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