第179章

オードリー視点

もう一秒だって待てなかった。

五年もの間、自分の子供は永遠に失われたのだと信じてきたのに、今、その子がずっと私のそばにいたことを知ったのだ。その奇跡は、受け止めるにはあまりにも大きすぎた。

「オードリー、待って」

ノアの部屋へ駆け寄ろうとした私を、キャスパーがそっと呼び止めた。

私は立ち止まり、手はすでにドアノブにかかっていた。

「あの子は眠っている」

「わかってる」と私は囁いた。涙がまた溢れそうになる。「ただ、あの子の顔が見たいの、キャスパー」

キャスパーの表情が和らぐ。彼は一歩近づき、ドアノブにかかった私の手に自分の手を重ねた。

「わかった」と彼は静かに言った。「私たちの...

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