チャプター 50

オードリー視点

私は深呼吸を一つして、これから始まるであろう困難な会話に備えて心を落ち着かせた。

彼が座る椅子のそばに膝をつき、目線を合わせる。「来月で、私、ルミナス・ギャラリーで働くのをやめるの」

パレットの上で止まった絵筆を手に、彼の動きが凍りつく。「やめ……ちゃうの?」彼の声はとても小さく、胸が張り裂けそうだった。

「これからも会えるわ」私は慌てて説明し、そっと彼の腕に手を置いた。「ただ、もうギャラリーの先生じゃなくなるだけよ」

「でも、どうして?」ノアの目が見開かれ、裏切られたような表情が浮かぶ。「僕、何か悪いことした? もっとちゃんとするから、約束するよ!」

「ああ、ノア、違うの!...

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