チャプター 55

オードリー視点

頬が熱くなった。いつからそこに立っていたの? どこまで聞かれたんだろう?

先に我に返ったのはフィンリーだった。彼は手を差し出しながら言った。「フィンリー・ブラックウッドです。私は――」

「ロンドンのブラックウッド・ギャラリーのオーナーですね」キャスパーは握手に応じながら、フィンリーの言葉を継いだ。「ご高名はかねがね伺っております」

どうにか声を取り戻した私は、必死に話題を変えようとした。

「キャスパー? どうしてここに?」私は神経質に辺りを見回しながら尋ねた。「ノアも一緒なの?」

キャスパーは首を振り、わずかに表情を和らげた。「ノアはもう寝ています。エドワードがついていますか...

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