第100章

藤原承弦は、わざと数日間、柳川夏苑に会わずにいた。

いま彼がいるのは病院だ。藤原のおばあ様はここ数年、体調が思わしくない。年を重ねればそういうものだと分かっていても、何度も救急対応を繰り返したせいで、気力も昔ほどではなくなっていた。

病室はしんと静まり返り、心電モニターの規則正しい電子音だけが、淡々と時を刻んでいる。

承弦はベッド脇の椅子に腰を下ろし、皺だらけの手を握った。

軽い。枯れ葉みたいに、頼りないほどに。

「承弦……承弦……」

呼ばれて、承弦は身を乗り出し、そっと手の甲を撫でた。

「おばあ様、ここにいます」

おばあ様は震えるまぶたをゆっくり持ち上げ、承弦の顔を確かめる...

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