第105章

藤原承弦の動きが、ふっと止まった。

腕の中の小さな女の子を見下ろす。まん丸い頬、きらきらした瞳。笑えば口元がきれいな弧を描く。

――俺に似てる?

そうは思えなかった。

ただ、この子は林田朔夜に似ている。そう感じた。

もし自分と林田朔夜のあいだに子どもがいたなら、きっとこんな顔をしているのだろう。

藤原承弦は何も言わず、ケーキを萌子の口元へ差し出した。

「ゆっくり食え。喉に詰まらせるな」

廊下を、赤井弦子が慌ただしく駆けてくる。遠目に中を覗いた瞬間、心臓が跳ね上がった。

萌子があの日、病院で会った『イケメンおじちゃん』が――藤原承弦?

飛び込むなんて無理だ。

藤原承弦に何...

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