第109章

「その方、ここ三年、毎日決まって同じ花を買いにいらっしゃるんですよ。デイジーに、ひまわりに、フランフラワー」

林田朔夜の手が、ふっと止まった。

「……へえ。そうなんだ」

「ですよねえ。きっと奥さまに買ってるんでしょうね。仲が良さそうで」

「確かに」

林田朔夜は適当に相槌を打つと、踵を返して店を出た。

車に乗り込み、エンジンをかける。目的地は、画展の会場。

林田朔夜が去って間もなく、柳川夏苑がビルの下に姿を見せた。

藤原承弦が出てくると、彼女は少し離れた花屋を指さし、甘えるような声を乗せる。

「承弦、花束、買ってくれない? 誕生日のお祝いってことで」

藤原承弦は花屋を一瞥し...

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