第115章

「萌子に父親の愛情を与えるため……それだけ?」

赤井弦子は驚いたように林田朔夜を見た。

朔夜は答えない。しばらく沈黙が落ちてから、ようやくゆっくり口を開く。

「この数年、勉強に追われて、仕事に追われて、子どもの世話に追われて……」

「それに……藤原承弦といろいろあってから、誰かを好きになること自体が、反射みたいに怖くなったの」

「私、もう……誰かを愛する力を失った気がする」

「ばか」

弦子はぐっと朔夜の肩を抱き寄せた。

「母親になったら、絶対に子どもに父親を用意しなきゃいけない、なんてことない」

「ママだろうが何だろうが、朔夜には人を愛する力がある」

「ただ、恋愛ってやつ...

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