第117章

林田朔夜は、彼女の一瞬の間に気づいた様子もなく、こくりと頷いて話を続けた。

「SKグループの藤原社長ですよね? ネットで、お二人がもうすぐ結婚するってニュースを見ました」

「お似合いです」

「アダム嬢、お褒めにあずかりありがとうございます」

柳川夏苑は否定せず、そのまま受け取った。

二人がホープ乳業の受付に着くと、高橋社長と株主たちが待っていた。並んで入ってきた二人の姿に、一同が一瞬だけ固まる。

高橋社長は反射的に自分の秘書へ視線を投げた。

秘書も額に汗をにじませている。柳川嬢のアポイントは午後のはずだった。なぜ午前に――。

「高橋社長、近くで取引先と会っていたので。用が済ん...

ログインして続きを読む