第123章

平賀の爺さまが、珍しく黙り込んだ。

商売の理屈だけで言えば、どう動くべきかは分かっている。

だが感情の面では――平賀蛍は、幼い頃からこの目で見てきた孫娘だった。

「出雲、お前はどう思う」

爺さまの視線が、平賀出雲に向く。

いま藤原家との窓口に立っているのは出雲で、何より蛍は彼の実の妹だ。

平賀出雲は目を伏せた。

長年の商場で、藤原承弦や雨宮淑のような存在が、平賀家ごときに揺らせる相手ではないことくらい痛いほど分かっている。

「爺さん……藤原承弦は、俺たちに相談してるんじゃない」

低く沈んだ声。

「蛍を差し出せと、要求してる」

「俺たちは……平賀家の存亡と、蛍のどっちを取...

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