第142章

角を曲がった途端、医療スタッフがぞろぞろと病室へ入っていった。

けれど林田朔夜だけが、足を止める。

見えたのだ。病室の中で、藤原承弦が目を閉じたままの藤原お婆様の前に座っている。

肩がわずかに落ちていた。まるで、重い何かを背負わされているみたいに。

彼は藤原お婆様の手を握っていた。

枯れ枝のように痩せたその手は、血の気がほとんどなく、死にゆく者のそれと同じく、青い血管が一本一本、浮き上がっている。

林田朔夜は扉の外で立ち尽くした。心臓を、何かにぎゅっと掴まれたようだった。

藤原承弦が気配を察したのか、目を上げる。

ガラス越しに、彼の視線が彼女のそれとぶつかった。

悲しみと孤...

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