第144章

林田朔夜が反応する間もなく、藤原承弦に腕を掴まれ、そのまま部屋へ引きずり込まれた。

闇の中。何も見えない。ただ、彼の気配だけが、じりじりと距離を詰めてくる。

熱い息が頬にぶつかった。抑え込まれすぎて、かえって狂気じみた熱。

「藤原承弦、何するの?! ん……!」

暗闇の中で、彼は躊躇なく彼女の頬を両手で包み、唇を塞いだ。

「んっ……や、放して!」林田朔夜は言葉にならないまま抵抗する。

胸を押し返しても、彼の腕は鉄の輪みたいに固い。ほどけない。

腹が立って、朔夜は思いきり噛みついた。

「……っ」

藤原承弦が喉の奥で短く呻く。舌に、鉄の味が広がったのが分かった。

けれど彼は放さ...

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