第149章

「家族、ですか?」赤井弦子はかすかに笑った。けれど、その笑みは瞳まで届かない。

「日野おじさん。本当に私のこと、家族だと思ってました? ええ、周りから見れば……あなたが私に優しかったのは事実でしょうね……」

「でも、母がやってきたこと。あなた、本当に何も知らなかったんですか?」

日野稲城は、はっと息をのんだ。理由もなく、胸の奥がざわつく。

「この三年で、私が日野グループに引っ張ってきた海外の取引先とリソースだけで、私の衣食住と学費くらい、十分に返せてます」

赤井弦子の声は、驚くほど落ち着いていた。

「……これで、相殺です」

そう言い切ると、彼女はもう誰の顔も見なかった。踵を返し...

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