第150章

日野伊風にそう責め立てられた途端、伊達敏乃の目がみるみる赤くなった。

小さくしゃくり上げ、涙が瞳の縁で何度か揺れて――結局、ぽろりと頬を伝う。

「木下おばさんが仮病を使ってたなんて、私も知らなかった……病室に行って、そこで初めて……」

日野伊風の頭の中は、もともとぐちゃぐちゃだった。

敏乃が泣けば泣くほど苛立ちが増し、こめかみがずきずきと脈打つ。

赤井弦子が、意地だけで適当な男とくっついたのだとしたら――最悪だ。

けれど目の前で泣き続ける敏乃を放っておくわけにもいかない。まずは落ち着かせないと。

「……悪かった。さっきは俺が焦りすぎた」

伊風はそっと指先で敏乃の涙を拭い、低く...

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