第154章

狩野柏斗は、どうして自分の住所を知っているんだろう。

それに――。

起きたばかりで髪はぐしゃぐしゃ、まだ顔も洗ってない。

赤井弦子は身支度を整えてから下りようとした。けれど、ふと思う。

もしこの先、本当に結婚するなら。彼には遅かれ早かれ、いろんな自分を見られるのだ。

だったらもう、いいや。

この姿を見て狩野柏斗がためらうなら――その時点で、悩む必要もなくなる。

弦子はどたどたと階段を駆け下りた。

ドアを開けると、そこにいたのは、やけにきちんとした格好の狩野柏斗だった。

髪まできっちりセットしている。シャツの襟元はぴんと立ち、全身が雑誌の表紙から抜け出してきたみたいに整ってい...

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