第165章

藤原承弦は柳川夏苑を見据え、ゆっくりと言葉を落とした。

「この前、はっきり伝えたはずだ」

「俺は一度も君を好きになったことはない。あれは若さゆえの勘違いだった」

柳川夏苑の肩が小さく震え、掠れた声が漏れる。

「じゃあ……あなたは雨宮千之を、林田朔夜だと思い込むつもりなの?」

「答える意味がない」

藤原承弦は眉を寄せる。

「俺が愛したのは、最初から最後までただ一人だ」

柳川夏苑は口元を歪め、嘲るように笑った。

「雨宮千之は、自分が林田朔夜の身代わりだって知ってるの?」

「それとも最後には、林田朔夜を愛せなくなって……彼女を愛してしまうの?」

「言っただろ。答える意味がない...

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