【第26章】

夕食のあと、三人は庭へ移った。

祖母が小さな竹椅子をいくつか運び出し、さらに蜜柑を盛った皿まで持ってくる。

「朔夜さん」

長島心月が、ふいに口を開いた。

「この先、うちに住めばいいじゃないですか。部屋はひとつ空いてるし、おばあちゃんだって賑やかなほうが好きですし」

林田朔夜はふっと笑い、静かな声で言った。

「心月。私、海外へ行こうと思ってるの」

長島心月は目を見開いた。隣で蜜柑の皮をむいていた姫路雨音の手まで、ぴたりと止まる。

「母が療養院にいるでしょう。向こうのほうが、環境がいいところもあるから」

林田朔夜の声音は穏やかだった。

「前からずっと調べてたの。いくつか当たっ...

ログインして続きを読む