第55章

「ジャック」

受話器の向こうは、爆音の音楽にグラスの触れ合う音、男女の笑い声が絡み合っていて――どう聞いてもクラブの店内だった。

「奏夢?」ジャックの声は気怠げだ。「こんな時間にどうした。用でもあんのか」

宮本奏夢は窓際にもたれ、淡々と言った。

「この前頼んだ件、進捗は?」

ジャックが一拍、黙る。

「林田朔夜のことか?」くっと笑い、面白がるような響きを乗せる。「大人しそうに見えるのにさ。気ィ強いんだよな、あの子」

宮本奏夢が眉をひそめる。

「全部の女は落とせるって言ってたでしょ」

「落とせないんじゃない」ジャックはゆっくり言葉を転がした。「むしろ、どんどん面白くなってきた」...

ログインして続きを読む