第58章

林田朔夜がそこまで考えを巡らせる前に、正面から冷えた嘲笑がいくつも飛んできた。

牧野芳美は雨宮華の手を振りほどき、そのまま雨宮淑のベッド脇へ歩み寄る。見下ろすように雨宮淑を睨み、口元に薄い冷笑を貼りつけた。

「雨宮淑。大奥様って呼んで差し上げてるのは、こっちが敬ってるからよ。いい気になるんじゃないわ」

「よくもまあ、私と華さんのことを口にできるわね」

声はどんどん尖り、病室の空気を裂いた。

「うちの母の心の病はね、長年ぜんぶ、あんたが原因なのよ」

「当時あんたが彩枝を追い出さなければ、母があんなふうに塞ぎ込むこともなかった!」

雨宮淑の呼吸が乱れ、胸が大きく上下する。

牧野芳...

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