第63章

シャワーをひねると、熱い湯が落ちてきて、肌を打った。

身体の芯がじわじわ温まるにつれ、頭の中の靄も薄れていく。

朔夜は浴室を見回し、やがて視線を洗面台の下――引き出しへ落とした。

歩み寄り、引き出しを引く。

中には予備のアメニティが入っていた。歯ブラシ、歯磨き粉、カミソリ。

カミソリ――。

林田朔夜の心臓が、ひゅっと跳ねる。

彼女は素早くそれを取り上げ、刃を外した。

薄い。鋭い。

刃をバスローブのポケットに忍ばせ、カミソリは元通りに組み直して引き出しへ戻す。

しまい終えた、その瞬間。

コン、コン。

ドアが叩かれた。

「終わったか?」

「もうすぐ」朔夜は短く答え、シ...

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