第65章

藤原承弦がドアを蹴破るように飛び込んだ、その瞬間だった。

目に飛び込んできた光景に、全身の血が一気に凍りつく。

ジャックの手が、彼女の首を締め上げていた。壁へ乱暴に押しつけられ、林田朔夜はぐったりとしている。

顔色は青紫に変わり、瞼は半ば落ち、手足は力なく垂れ下がっていた。まるで、翼をへし折られた鳥みたいに。

頭の中で、ぶん、と嫌な音がした。

それ以外の音が、何ひとつ聞こえなくなる。

藤原承弦は一気に駆け寄り、ジャックを力任せに突き飛ばした。

ジャックはたたらを踏み、数歩よろけて壁へ激突する。

けれど藤原承弦は、そんな男を一瞥もしなかった。視線の先にあるのは、ただ林田朔夜だけ...

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