第66章

ヘリの中は、息をひそめたみたいに静かだった。

林田朔夜はシートに沈み込み、ずっと藤原承弦の手を握っている。強く、強く。指先がまだ小さく震えていた。

藤原承弦は何も言わず、ただ彼女の背を、ゆっくりと撫でて落ち着かせる。

「もう終わった」低く囁くように言う。「全部、終わった。お前は安全だ」

林田朔夜は返事をせず、顔を彼の胸に押しつけたまま、息を整えるだけだった。

「ジャックの野郎……」藤原承弦の声が沈む。「必ず、代償を払わせる」

ヘリは最寄りの別荘へ降りた。

藤原承弦が郊外に持つ私有地。静かで、人目につかず、警備も厳重だ。

彼は機体を降りると反対側へ回り、彼女を抱き上げて外へ連れ...

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