第68章

雨宮家のリビングで、藤原承弦は静かに腰を下ろしていた。

雨宮淑はソファにもたれ、顔色はまだ冴えない。牧野婆さんの訃報は、想像以上に彼女の心を削っていた。

「世間話はいいわ」

雨宮淑が藤原承弦を一瞥する。

「で、何の用?」

藤原承弦は、林田朔夜が拉致された件を簡潔に説明した。

話を聞き終えた瞬間、雨宮淑の表情が変わる。

「ジャック……あの畜生!」

怒りに任せてテーブルを叩く。

「腕の一本でも落として当然よ。自業自得!」

荒い息をひとつ整え、彼女は改めて藤原承弦を見た。

「あなた、知らせに来ただけじゃないでしょ?」

藤原承弦は頷いた。

「お願いしたいことがあります」

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