第70章

雨宮淑は、どうにか気持ちを落ち着かせた。

車は墓地を離れ、山道を下っていく。

彼女はシートに身を預けたまま、頭の中だけが休まらなかった。

林田朔夜の出生。彩枝の子ども。――疑問が多すぎる。

なぜ林田朔夜は「林田」姓なのか。父親の姓ではなく。

墓守の老人は「彩枝に娘はいなかった」と言った。なら、その子はどこへ消えた?

自分の知らない真実が、そこにある。確信だけが重く沈む。

少し考えたのち、雨宮淑は前席の探偵に声をかけた。

「病院で、林田朔夜の出生記録を徹底的に洗って。彩枝の件も、当時の記録を全部」

「些細なことでも、見落とさないで」

探偵は短くうなずく。

雨宮淑は目を閉じ...

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