第71章

もし彩枝、母さんが林田家で育っていたら――どれほどよかっただろう。

祖父も祖母も、人に対していつだって優しかった。父も母も、あんなにいい人だった。彼女がここで大きくなっていたなら、きっと幸せになれたはずだ。

けれど彼女は、運命に別の場所へ押し流された。

牧野婆さんと出会い、実の娘みたいに可愛がられて。

それでも最後は、幸せにしてくれると信じた雨宮家へ嫁いで――あんな結末を迎えた。

林田朔夜は、写真を握る指に力を込めた。

写っている、憂いを帯びたその顔を見つめながら、喉の奥からこぼれるように呟く。

「お母さん……あなたを傷つけた連中、絶対に許さない」

朔夜は床に座ったまま、長い...

ログインして続きを読む