第72章

林田朔夜は重たい胸のまま、ホテルへ戻った。

エレベーターが上へ上へと昇っていく。点滅する階数表示を見つめながら、頭の中を占めているのは本家で見た、黄ばんだ日記の文字ばかりだった。

扉が開く。

廊下へ出て、雨宮淑の部屋の前を通りかかったとき、足がふっと止まりかける。

ドアの隙間から灯りが漏れていて、かすかに人の話し声が聞こえた。

朔夜は立ち止まらない。そのまま自分の部屋へ向かった。

鍵をかけ、ドアに背を預ける。目を閉じた。

今日だけで、いろいろ起きすぎた。飲み込む時間が必要だった。

スマホが鳴る。藤原承弦からだ。

画面で跳ねる名前を見つめ、朔夜は深く息を吸ってから通話を取った...

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