第73章

雨宮淑は、身体がびくりと強張り、顔を上げて林田朔夜を見た。

林田朔夜の瞳には、雨宮淑には読み取れない何かが宿っている。

「彩枝さんが雨宮家に嫁いでいなければ――」林田朔夜は淡々と続ける。「きっと、もっと幸せに生きられたはずです」

「それに、あなたの孫娘が……母親がそんな目に遭っていたと知ったら、どうして心からあなたと名乗り合えるんですか」

雨宮淑の胸を、何かが鈍く殴った。

口を開きかけて、言葉が出ない。

その一言一言が針になって、心臓に突き立つ。

最後に彼女は、苦く笑っただけだった。

「……その通りね」雨宮淑は小さく言う。「私が、あの子たちに……申し訳ないことをした」

林田...

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