第76章

林田朔夜は、最も早い便を押さえてA市へ戻った。

舷窓の外では雲海がうねり、白い波みたいに盛り上がっては崩れていく。朔夜はシートに身を預け、ここ数日で起きたことを反芻した。身の上の真実。雨宮淑の、言葉にならない複雑な視線。そして、唐突に現れた「あのおじさん」……。

胸の奥が、ぐちゃぐちゃだ。

着陸の衝撃がどん、と腹の底に響く。朔夜は目を細め、深く息を吸い込んでから、人の流れに紛れて機内を出た。

スマホの電源を入れた瞬間、ぶるぶるぶるっと狂ったように震えだす。

赤井弦子だった。

「朔夜! 今日の爆弾ニュース見た?!」

弦子の声は、テンションが天井を突き抜けそうなほど高い。

朔夜は...

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