第84章

病室にいた二人は、その言葉を聞いた瞬間、そろって息を呑んだ。

天野風希は眉をひそめ、反射的に立ち上がると、林田朔夜のベッドの前に身を滑り込ませる。藤原承弦の目を真正面から見返した途端、胸の奥がずしりと沈んだ。――おかしい。明らかに、いつもの承弦じゃない。

「どういう意味だ」

天野風希は、できるだけ声を乱さないように言った。

だが藤原承弦は、取り合う気すらない。

片手を上げるだけで、控えていたボディガードがすぐに動いた。左右から挟み込まれ、天野風希の腕ががっちり掴まれる。

「両手を潰せ。二度と林田朔夜の前に現れないようにな」

「藤原承弦!」

林田朔夜が跳ね起きる。「何してるの!...

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