第89章

「どこでこの写真を手に入れた?!」エリックの声は震えていた。

林田朔夜は、彼の怯えをゆっくり味わうように眺めるだけで、問いには答えない。

代わりに、淡々と昔話を始めた。

「ずいぶん昔、小さな男の子がいた。父親はしょっちゅう暴力を振るって、母親は耐えきれずに出ていった」

「それから十数年、その子は母親の行方を探し続けた。でも、何ひとつ手がかりは掴めなかった」

そこで、いったん言葉を切る。

「……なのに不思議。私が探したら、すぐ見つかった」

「彼女は喫茶店をやって、穏やかに暮らしてた。このまま何事もなく、一生を終えるはずだった」

声の温度が、すっと下がる。

「残念ね。残念ながら...

ログインして続きを読む