第9章

「……妊娠したの!!!」

林田朔夜が叫んだその瞬間、狭い玄関に声が弾けた。

ほとんど同時に、窓の外で大輪の花火が上がる。

「ドン——バララッ!」

途切れない爆ぜ音が一気に周囲の音を食い潰し、林田朔夜の言葉まで飲み込んだ。

藤原承弦に見えたのは、彼女の唇が動いたことだけ。何を言ったのか、一文字も聞こえない。

「……今、何て言った?」

反射的に問い返した藤原承弦の目に飛び込んだのは、砕けた涙の光と、絶望に近い怯えだった。

彼女の腰を押さえていた手が、知らず緩む。

林田朔夜は顔を背け、涙が目尻からこぼれて生え際へと流れ落ちた。恐怖で肩が小さく震えている。

……震えてる。

怖く...

ログインして続きを読む