第95章

翌朝。林田朔夜が目を覚ますと、藤原承弦はまだ眠っていた。

目の下には濃い隈。眉間には皺。夢の中でも休まらない、とでも言うような顔。

朔夜は起こさず、そっとベッドを抜け出して朝食へ向かった。

この二日ほどで自分はここを出る――そう思うと、胸の奥がふっと軽くなる。いつもより食欲も出て、肉まんを二つ余計に食べてしまった。

昨日、承弦が言っていた水族館。

行こう、と決める。

どうせ、もうすぐ離れるのだから。

彼が起きた頃合いを見計らい、朔夜はゆっくり部屋へ戻った。

藤原承弦はどこか気力が削がれたような顔で、彼女を見るなり言いかける。

「朔夜、水族館……」

「いいよ。行く」

朔夜...

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