第98章

林田朔夜は椅子の背にもたれ、遠い海面を眺めていた。

陽射しが水の上に落ち、砕けた金色の光がきらきらと跳ねる。眩しさに、思わず目を細めた。

頭上をカモメが横切り、澄んだ鳴き声を残していく。

彼女はふと視線を落とし、ふくらんだお腹を見た。口元が、わずかにゆるむ。

――爆発したあの船に、自分は確かに乗った。

けれど爆発の十分ほど前、急に体調が悪くなって、降りたいと思った。

あのとき、海岸にいる藤原承弦の人間とは別に、船には雨宮淑が密かにつけていた護衛がいた。

護衛たちは手早く救命ボートを手配し、彼女を船から離脱させた。

ボートに移った直後、爆発が起きた。

雨宮淑はちょうど護衛と通...

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