第18章

冷たい香りが遠慮なく車内を満たし、米崎梨央は全身がこわばったまま、身じろぎひとつしなかった。

新村慎之介が横顔を寄せ、彼女の胸元へ手を伸ばしてくる。

「ちょ、何するの? やめて!」

米崎梨央の顔色がさっと変わる。だが新村慎之介は取り合わない。

手が腰のあたりまで迫り、米崎梨央は反射的に身をひねって避けた。

――次の瞬間、その手は彼女の脇のシートベルトを掴み、すっと引き寄せる。

「動くな」

声を低く落とし、米崎梨央の向こう――窓の外へ視線を投げた。

米崎梨央もつられて外を見る。

鈴木朱音が早宮家から出てきたところだった。こちらへ向かって歩いてくる。

米崎梨央は一拍おいて、も...

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