第29章

米崎梨央は執事に付き添われて車に乗り込むなり、単刀直入に切り出した。

『話して。何があったの?』

執事は左右を見回し、周囲に誰もいないことを確かめてから、深いため息をついた。

『米崎さんが飲ませた強心薬が、新村のおばあさまには負担が大きすぎたようで……中毒症状が出てICUに運ばれました。さっきようやく、命の危険は脱しました』

米崎梨央は動きを止め、眉をひそめる。迷いは一切なかった。

『あり得ない』

声には硬い確信が滲んでいた。

『私の強心薬は、配合成分はすべて安全性を確認してる。人体データも十分ある。新村のおばあさんだけが、飲んだ途端に害が出るなんて有り得ない。新村家がどれほど...

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