第32章

島崎静香は顔を覆い、ついに嗚咽を漏らした。

『ほんとに、わざとじゃないの! ただ、おばあさまが米崎梨央さんばかり大事にするのが嫌で……こんなふうに好きにならないでほしかった。私の居場所を、誰かに取られたくなかっただけ!』

『あの大事な玉釧まで、米崎梨央さんにあげちゃって……だから、みんなに米崎梨央さんを嫌いになってほしかっただけなの……』

泣きじゃくりながら、彼女は「そうした理由」を口にした。

新村父の顔色が、みるみる鉄青に変わる。

「……この新村家が、お前を何年も養ってきた。実の娘同然に扱ってきたんだぞ。それなのに、どうしてそんなことができる! おばあさんに何かあったらどうするん...

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