第34章

米崎梨央が黙り込んだ、その時だった。鈴木明哲が口を開く。声の端に、わずかな痛ましさを滲ませながら。

『この案件、最初はみんな期待してた。まさかこんな問題が起きるなんてな……だが、お前は――俺にとって、かつての娘でもある。見殺しになんてできない。だから、こうしよう』

言葉を切り、意味深に梨央を見上げた。

『お前の持ち株を俺に譲れ。そうすりゃ損失の30億はお前に出させない。そんな借金でお前が潰れるのは、俺も見たくないんだ』

会議室が水を打ったように静まり返る。全員が、梨央の返答を待っていた。

梨央は数秒沈黙してから、口元だけで笑った。

『いい筋書きね』

鈴木明哲の笑みが一瞬、引きつ...

ログインして続きを読む