第35章

米崎梨央は淡々と言った。『ううん。ちょっと会社まで行ってくる』

『そっか』清水恵美は言いかけて口をつぐみ、改めて彼女の顔を見つめると、結局こらえきれずに問いただした。『梨央、ママには本当のこと言って。鈴木家のほう、何かあったの? 誰かに嫌がらせされてるんじゃないの?』

その言葉に、米崎梨央の胸がほんのり温かくなる。『誰にも嫌がらせなんてされてないよ。仮にされそうになったとしても、痛い目を見るのは私じゃない』

清水恵美がふっと笑う。『分かった。じゃあ気をつけてね。いってらっしゃい』

米崎梨央は家を出て、のんびりと農場の外へ向かった。

農場は市街地から少し離れている。普段は外へ出るだけ...

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