第38章

米崎梨央は腕を組み、上から見下ろすように鈴木明哲がへりくだる姿を眺めた。胸の奥がすうっと晴れていく。――鈴木明哲が自分の前で、こんな顔をする日が来るなんて。生きてりゃ見られるものだ。

そのみじめな態を品定めするように、梨央は言った。

『損をする? 何の損?』

鈴木明哲は一瞬きょとんとし、肩をすくめる。

『財務システムがハッキングされた後の損害だよ。運転資金が吹き飛べば、配当どころじゃない。プロジェクトが回らなくなって赤字が出たら、お前だって一緒に穴埋めになるんだぞ』

米崎梨央はぷっと鼻で笑い、あまりに軽く言ってのけた。

『ああ、それ。別にいいよ。損失を被ることになっても、どんな結...

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