第50章

途端、廊下でぱたぱたと足音が重なり、数人の気配が個室をぐるりと取り囲んだ。

男のひとりが口を開く。

『米崎梨央さんですね。少しお付き合い願いたい場所がある。抵抗するなら――悲惨な死に方になる』

米崎梨央は水をひと口含み、視線を落としたまま、影の主すら見ようとしない。

『いいよ。どうせ生きてても意味ないし。見せてよ、どうやって私を殺すのか』

その一言に、外の連中が同時に息を止めた。

地下の闇市で請けた仕事は、たいていが同じだ。標的は泣いて命乞いをするか、取り乱して逃げ惑う。――それなのに、この年頃の少女は、妙なほど落ち着いている。

おかしい。常識に合わない。

新村慎之介が、笑っ...

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