第61章

米崎雪美は、湯気の立つ湯呑みをぎゅっと握りしめた。

――どうして、あの女なんかを好きになるの? 知り合って、どれだけ経ってるっていうの。

じゃあ、私たちの婚約はどうなるの?

米崎家と新村家には昔から暗黙の了解があった。両親だって、婚約の話を口にしていた。

まだ正式に決まったわけじゃない。だけど、雪美の中では――新村慎之介は、もう自分のものだった。

それを、米崎梨央に奪われるなんて。

米崎雪美は瞳をかすかに震わせ、湯呑みを置く。胸の奥が、むっと不快に熱を帯びた。

その様子を見て、鈴木朱音が舌打ちする。

『見たでしょ? 米崎梨央って、そういう女なの。農場上がりの田舎者のくせに、新...

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