第62章

米崎雪美は、ますます油断できないと感じていた。

確かに鈴木朱音の言うとおりだ。米崎梨央は相当やり手で、腹の底も読ませない女なのだろう。

でなければ、これまで女を寄せつけようともしなかった新村慎之介が、あそこまで彼女に入れ込むはずがない。

――本当に、厄介な相手だ。

そのとき、不意に車の窓をこつこつと叩く音がした。

顔を向けると、鈴木朱音がまだ外に立っていた。いかにも殊勝な態度で、ぺこぺこと頭を下げている。

米崎雪美は不機嫌そうに窓を下ろし、冷ややかに言った。

「何か用?」

「大丈夫?」鈴木朱音は身を乗り出し、機嫌を取るような声を出す。「病院に行ったほうがよくない? かなり具合...

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