第64章

米崎梨央は祖父の死が頭から離れず、すぐさま車を走らせて新村家へ向かった。

ところが客間に足を踏み入れた瞬間、そこにいたのは新村おばあさんだけではなかった。見覚えのない親戚たちがずらりと揃っている。

新村慎之介はおばあさんの隣で茶を相手にしていたが、梨央の姿を見つけると、わざわざおばあさんの向かいの椅子を引いてみせた。

『こっち、座って』

その一言で、親戚たちの表情が揺れる。

おばあさんが座ってお茶をしている場で、誰もが勝手に腰を下ろせない。ましてや、慎之介が自ら椅子を引くなど――。

若い娘ひとりに、なぜそこまで?

さらに彼らの目を疑わせたのは、新村おばあさんが梨央の着席をまった...

ログインして続きを読む