第76章

米崎雪美は従順そうな表情を貼りつけたまま、胸の内では焦りでぐちゃぐちゃだった。

メールはもう送ってしまった。今さら「やっぱりやめます」なんて言える余地はない。

もしこの二日で、あの専門家が本当に来たら――いくつかのことは、もう隠しきれない。

『お姉ちゃん……』

雪美は唇を噛む。

『私のことを思ってくれてるのは分かるけど、病気はもう診断がついてるし、ちゃんと静養してればいいの。わざわざ――迷惑かけなくていい』

『迷惑って何よ』

米崎梨央はソファに凭れ、薄く笑って悠然と雪美を眺めた。

『心臓の病気は軽く見ちゃだめ。それに、あなた……それが理由で結婚も出産も難しいんでしょ? そんな...

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