第77章

「わ、わからないよ、お姉ちゃん……ほんとに知らない!」

米崎雪美はすぐさま、いかにも委屈そうで無垢な顔を作った。『時計を受け取った時から、私、一度も開けてないの。普通だと思ってた……ごめんなさい、壊れてるなんて知らなくて』

そう言った途端、ぽろりと涙が落ちる。

『ごめんね……たぶん、オークションで手に入れた時からこうだったのかも。ちゃんと確認しなかった私が悪い……お姉ちゃん、怒らないよね?』

ほんの数秒で、雪美の頬は涙でぐしゃぐしゃになった。

米崎梨央は黙って、その芝居を眺めている。

オークションの時点で壊れていた? そんなわけがない。これは雪美がわざとやった。

この時計の時針...

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