第80章

米崎梨央は返事をせず、わざとらしく馴れ馴れしい態度を取る米崎雪美を、淡々と一瞥した。

言葉のない沈黙が部屋にじわじわと広がっていく。雪美の表情はみるみる気まずさを増し、やがて唇を噛んで、頬を赤らめながら梨央を見上げた。

『お姉ちゃん、ただ聞いてみただけ……別に他意はないの』

またそれか。

梨央は心の中で白目を剥きつつ、適当に答える。

『まあ、順調かな』

その返事を聞いた途端、雪美の目元からはさっきまでの潤みが消えた。視線がくるりと泳ぎ、何かを思いついたように瞳の奥で小さな光がきらりと走る。

『お姉ちゃん、ちょうど相談したいことがあるの』

雪美の「相談」に、ろくなものがあった試...

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